第11回 名古屋講演会
開催月日:2015年07月25日(土)
開催場所:名古屋国際センター ホール

当日は35度を越える暑さにもかかわらず、大勢の方々が参加された。講演中に、講師の話に大きく頷いたり、メモを取ったり、血液検査表をチェックしたりと、病気を自分で管理しようとする人が多く見受けられました。以下は、廣岡先生のお話の中からピックアップしてみました。

腎臓病の治療方法は大きく分けると3つに区分されるそうです。

第1は、死滅した腎臓に変わって、人工的に腎機能を保全する治療法(透析・腎移植)
第2は、病気の進行や症状を抑える薬物療法(降圧剤、利尿剤、吸着剤など)
第3は、患者自身による腎機能保全療法(食事療法、運動療法など)

第1の治療法として透析と腎移植が挙げられます。将来、IPS細胞による治療法が加わるでしょう。いずれも全壊した腎臓に替わって人工的に腎機能を維持しようとするもので、現在の腎臓病治療の決定打といえましょう。しかし、これらの治療は代替医療であり、腎臓が壊れる原因を治していません。つまり、患者さんの腎臓の壊れた体内環境を改善していないので、どんなに新鮮で元気な腎臓を移植しても、数年後には移植した腎臓も壊れてしまい、再度の移植が必要になります。

第2の治療法は、お医者さんによる薬物療法です。この治療法は更に2つに細分されます。1つ目は、症状の悪化を防止する治療で、降圧剤、尿酸値改善薬、血糖硬化剤、脂質代謝改善薬などを使用します。2つ目は、腎機能の代替をする治療で、利尿剤、増血剤、血液中に溜まった尿毒素やリン、カリウムの吸着剤、骨粗しょう症治療剤などを使用します。

第3の治療法は、患者自身が生活の中で治療するものです。その一つは食事療法で、たんぱく質制限、塩分制限、カリウムやリン制限、カロリーコントロールなどがあります。
もう一つは、運動療法で、腎臓病を進行させないためには激しい運動を控え、症状にあった適切な運動を行うことです。

以上のとおり、現在の腎臓病治療は、発症原因が分からない部分もあるため腎臓そのものを治していません。壊れた腎臓を出来るだけ長生きさせる治療をしているのです。その現状を踏まえると、患者さん自身が、生活の中で病気を進行させないようにすることが大切であることを、ご理解いただけたのではないでしょうか。

【参加された方の感想】