第15回 名古屋講演会
開催月日:2016年11月12日(土)
開催場所:名古屋国際センター ホール

中日新聞名古屋本社さんの「後援」をいただき、講演終了後にお礼の報告をお届けしました。今回は、その報告書をそのまま掲載しました。

第1部  演題「なぜクレアチニンは下がるか」 廣岡孝講師
腎臓病に関わる人たちにとって、病気進行の指標であるクレアチニンの数値が「下がらない」のは、常識となっています。しかし、その数値を下げる方法があるのです。下がる理由とその方法を紹介します。

細胞は血液によって生かされている
人間は60兆個の細胞から構成されています。筋肉も臓器も神経も毛髪や爪もすべて細胞からできています。細胞は生き物ですから、わたし達の日常生活と同じように、呼吸をし、食事をして、それをエネルギーとして活動し、最後に、二酸化炭素と老廃物を排出しています。この循環を支えているのが血液です。ですから、血液が全身をめぐり、細胞に酸素と栄養を供給し、二酸化炭素と老廃物を回収できていれば、わたし達は健康でいられます。

生活習慣病は治らない
ところが、偏った生活習慣を続けていると、血液循環に狂いが生じ、細胞に酸素と栄養が届かなくなります。このように偏った生活の中で発症する病気を生活習慣病といいます。腎臓病も含めて生活習慣病は、薬を中心とする現在の医療では治すことができません。

瀕死の細胞を元気にすれば腎臓は元気を回復する
細胞は生き物です。生き物であれば、元気な細胞、疲れている細胞、病気の細胞、瀕死の細胞など様々な状態の細胞があります。慢性腎臓病は、男女、年齢等にもよりますが、おおよそクレアチニン値が1.0、eGFRが60%を切った時に診断されます。
腎臓病と診断されても、まだ60%の細胞は生きています。しかし、全部が活動しているわけではなく、病気の細胞もあります。そこで、血液を強制的に流し、細胞に酸素と栄養を届ければ元気な細胞はより元気に、病気の細胞も元気になれます。つまり、60%の細胞を大切に生かしていけば、透析を免れることができるのです。

第2部「内臓トレーニングの効果を高めるために」  望月みや子講師
腎臓細胞を元気にする方法についてお話させていただきます。60%の細胞を元気にするために、内臓トレーニングでは4つの方法を考えております。

① 全身の血液循環を活性化する
血液循環を活性化するのに、内臓トレーニングではふくらはぎに注目しました。もちろん心臓がもっとも大切ですが、下半身に降りた血液を引力に逆らって心臓に引き上げるにはふくらはぎを動かすことが大切です。それには足首を使った歩行をするようにしましょう。年を取ると、足は小指側に重心をかけるようになってしまい足首を動かさなくなってしまいます。もし、それが無理なら毎日ふくらはぎマッサージをしましょう。

② 腎臓(内蔵)に集中的に血液を送りましょう
腎臓の血流を活性化するには、腎臓のツボがある足の裏を揉みましょう。人間の血液は約4.5リットルといわれ、全身の細胞が常にたっぷり血液を使える状態にはありません。運動しているときは筋肉の細胞へ、食事のときには胃腸の細胞へと人間活動のそれぞれの場面に集中的に使用されます。そこで、足裏の腎臓のツボを刺激していつも腎臓に血液が届くようにすれば、弱っている腎臓の細胞を元気にすることが可能です。

③ 自律神経の機能を活性化する
自律神経は、腎臓(内臓)の健康を保つ働きがあります。この神経は交感神経と副交感神経から構成されており、この2つの神経のバランスが崩れると内臓のコンディションが崩れてしまいます。そこで、この神経の機能を活性化するため、内臓トレーニングでは、首筋と仙骨にパッドを貼り、背骨の中にある自律神経に低周波電流を流します。
これは、故田坂定孝東京大学医学部教授の「低周波脊髄・頭部通電療法」にある神経の治療法を活用させていただいたものです。上記3つの方法を、毎日1時間ずつ行うことによって腎臓の弱った細胞を元気にし、結果としてクレアチニンの数値を下げ、腎臓の残存機能を高めていきます。

④ タンパクを抑えた食事療法の実施
腎臓の機能が衰えてくると、細胞から排出される尿素窒素が血液中に溜まってしまいます。尿素窒素とは、細胞がたんぱく質を消費した後に残る老廃物で、尿毒症の原因となる有害な物質です。大量のたんぱく質を摂取すると大量の尿素窒素を体内に溜め込んでしまい透析に入るのを早めてしまいます。そこで、一日に取るタンパク量を制限するための食事療法を行っています。ただ、いくらタンパク質を制限しても、毎日摂取し続けるので食事療法だけでは透析を免れることはできません。
なお、食事療法の方法は、市販の本を参考にしてください。

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